chapter:☆言葉、伝えられなくて……☆ いったい、どれくらいの時間、屋上にいただろう。 ぼくの涙は、もう枯れてしまった。 悲しみのあまり、立つことさえもできなくて、冷たい地面にうずくまったぼくは、ただ、オレンジ色の夕日から藍色になっていく空を見つめていた。 ……生徒会室に戻ろう。 行かなきゃ、紅葉(もみじ)と霧我(むが)のお仕事が増えてしまう。 そう思うのに、身体は言う事を聞いてはくれなくって、まるで地球上にある重力が全身に重くのしかかってくるような感じがした。 屋上は無人であるのに対して、真下の運動場からは生徒たちの明るい笑い声が聞こえてくる。 それが余計に、ぼくの悲しみを、孤独感をつのらせていく……。 膝に顔をうずめて、空さえも瞳に映すことをやめてしまった。 放課後の帰宅をうながす放送と音楽が耳の遠くで聞こえてくる。 もうそんな時間なんだ……。 霧我も紅葉も、きっともう帰るよね。 ぼくが生徒会に行かなかったこと、怒られるだろうな。 紅葉には、『責任感がない』って言われて、霧我には……『来たくないなら来なくていい』とか言われちゃうかも……。 嫌われるのかな……。 グスッ。 涙は出ないけど、代わりに鼻水が出てきてしまう。 この時間帯はやっぱり少し冷えるね。 今の悲しい気持ちに支配されたぼくには、ほんの少しの光さえも堪えられなくって、拒絶するため、まぶたというカーテンを下ろした。 |