chapter:☆言葉、伝えられなくて……☆ 「……ず」 「……ず!!」 はれ? 霧我の声が聞こえるなんて、ぼくの耳、そこまでおかしくなったのかな。 外部から聞こえてくる声に閉ざしたまぶたをひらいていけば、そこには一重の目。眉根を寄せて心配している……彼がいた。 「え? あ、霧我……どうしたの?」 涙でぼやけてしまった目をこすって、クリアーな視界を取り戻す。 そして、まばたきしても、目の前にはやっぱりぼくの好きな人がいた。 「どうしたのって……お前……。なかなか生徒会室に来ないから心配したんだぞ? こんな時間までいったいひとりで何をしているんだ。ここにいる理由は何だ? 何かあったのか?」 霧我に早口でまくしたてられてしまう。 だけど、泣いていたぼくの頭は真っ白だから、何を言われているのか全然わからない。 言われるまま、口をぽかんと開けてまばたきだけを繰り返す。 そうしたら、涸(か)れていたと思った涙が、目からポトリこぼれ落ち、ほっぺたを伝って流れていく――……。 霧我が……生徒会に顔を出さないっていうだけで、ぼくを探しに来てくれた。 ぼくを待ってくれていた。 それだけがぼくの胸をギュッとしめつける。 「鈴? まさか、誰かにいじめられたのか?」 心配そうな声は震え、涙で濡れたほっぺたを親指でぬぐってくれる優しい霧我。 「なに……も……」 |