お願い、ギュッてして!
☆最終話☆





chapter:☆お願い、ギュってして。☆







頭が重い。

体は熱くて熱くて、まるでサウナにでもいるみたいだ。


う〜ん、う〜ん、と他人が唸っているみたいに聞こえてくるぼくの声。


水……水がほしい。



そう思ったら、ぼくの願いが通じたのか、口の中に冷たい水が、すぐに流れ込んできた。


「ん……ん……」

ぼくは流れてくる水を喉の奥に通して、また意識を飛ばした。


時々、飛んだ意識が戻ると、熱いおでこに冷たい人の手が乗って、気持ちがいい。

いったい誰の手だろう。


……なんて考えていると、睡魔がぼくを襲う。


ぼくは……何も考えられなくって、また意識を飛ばした。





次に目を覚ましたのは、下校時刻を知らせる音楽が聞こえた時だった。


目を開けて、一番はじめに入ってきたのは、プツプツと通気口の穴があいた天井。

それから鼻をつくのは消毒剤の匂い。


半開きになっている窓から入る新鮮な空気と一緒に、オレンジ色に燃えている太陽の光が室内を照らしている。



……ここは保健室かな?



「気がついたか?」


まばたきをしていたぼくの耳元で聞こえてきたのは……ぼくが大好きなあの人の声。


そっと首を傾けて、声がした方を見てみる。


そこには、ほんとうなら黄土色なのに、オレンジ色の夕日に照らされている色素の薄い髪。

眉間にしわを寄せた、無愛想な表情の……霧我(むが)。


「む……が?」





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