お願い、ギュッてして!
★第四話★





chapter:★大好きが大きくなっていく★





「……っつ!!」

突然、耳元で怒鳴られて、肩が縮こまる。

身体がびくって震えた。



怒鳴られる声が静かな廊下に木霊(こだま)して、空気さえもが凍りついた気がした。


霧我に嫌われる!!

そう思うだけで、身も心もズタズタに引き裂かれたみたいに苦しくなる。

「ご、ごめ……」

謝ろうにも言葉が喉に詰まって声が出せないのは、悲しい気持ちがぼくの心を覆っているから。


謝らなきゃ。

謝らなきゃ、嫌われる。

焦って口を開くのに、言葉は出せない。


どうしよう。

どうしよう。

霧我に嫌われる。

頭がグラグラして、平衡感覚が失われていく……。


目頭は熱くなって、視界が歪む。

それなのに……謝ることができない。


「鈴!!」

「……っつ!! ごめ、なさっ……」

胸がズキズキ痛い。


身体を縮こませて霧我が怒鳴るのを遠くで聞いていると……。


ギュッ。

「っつ!!」

ふいにぼくの身体が強く抱きしめられた。



「重い箱を持っているんだ。よそ見をするな……」

――え?



何事かと思ってまばたきを繰り返していると、今まで怒鳴っていたはずの霧我の声が、震えていた。

「霧……我?」

いったい、霧我は何て言ったの?

ぼくが顔を上げたその先には……眉尻を下げた霧我の顔があった。


その表情は、なんだか泣いてしまいそうで、苦しそうで……。





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