chapter:★大好きが大きくなっていく★ 「……っつ!!」 突然、耳元で怒鳴られて、肩が縮こまる。 身体がびくって震えた。 怒鳴られる声が静かな廊下に木霊(こだま)して、空気さえもが凍りついた気がした。 霧我に嫌われる!! そう思うだけで、身も心もズタズタに引き裂かれたみたいに苦しくなる。 「ご、ごめ……」 謝ろうにも言葉が喉に詰まって声が出せないのは、悲しい気持ちがぼくの心を覆っているから。 謝らなきゃ。 謝らなきゃ、嫌われる。 焦って口を開くのに、言葉は出せない。 どうしよう。 どうしよう。 霧我に嫌われる。 頭がグラグラして、平衡感覚が失われていく……。 目頭は熱くなって、視界が歪む。 それなのに……謝ることができない。 「鈴!!」 「……っつ!! ごめ、なさっ……」 胸がズキズキ痛い。 身体を縮こませて霧我が怒鳴るのを遠くで聞いていると……。 ギュッ。 「っつ!!」 ふいにぼくの身体が強く抱きしめられた。 「重い箱を持っているんだ。よそ見をするな……」 ――え? 何事かと思ってまばたきを繰り返していると、今まで怒鳴っていたはずの霧我の声が、震えていた。 「霧……我?」 いったい、霧我は何て言ったの? ぼくが顔を上げたその先には……眉尻を下げた霧我の顔があった。 その表情は、なんだか泣いてしまいそうで、苦しそうで……。 |