chapter:★大好きが大きくなっていく★ 見ているだけで、胸が痛む。 「わかったか?」 コクン。 大きくうなずけば、ぼくを包んでいた霧我の手が頭に乗った。 それはきっと、霧我なりの甘やかし方。 涙目になったぼくをなぐさめたんだ。 ……やっぱり霧我は優しい。 霧我が怒ったのは、ぼくがダンボール箱の中身をばら撒いたことに対してじゃなくて、コケたぼくを心配してくれたことについてだったんだ。 抱きしめてくれる腕があたたかい。 「立てるか?」 霧我は膝を立てて中腰になると、いまだ段差で腰を落としているぼくの腕を引っ張って立たせようとしてくれる。 「あの……」 声をかけるぼくの声は、やっぱり震えているけれど、霧我には嫌われていないと安心したからか、すんなりと声を出すことができた。 そんなぼくに視線を重ねて次の言葉を出すのを待ってくれる。 「あの……ダンボール箱。中身をばら撒(ま)いてしまってごめんなさい」 「ああ、別に気にしていない。だいたい、あんな重い物を生徒だけで持たせる先生の方が悪いんだ」 霧我はひとこと言うと、ぼくから背中を向けて地面に転がっているダンボールと散らかっている用紙を片付けにはいる。 ――霧我。 霧我。 だいすき。 ねぇ、大好きだよ。 昨日より今日。 さっきよりも今。 この気持ちが日に日に大きく膨らんでいく。 ぼくも霧我に続いて散らばった紙を拾い上げながら、けっして口に出すことができない言葉を、心の中でささやき続けた。 |