chapter:☆隠しきれない想い☆ 意気込むぼくに、うなずく霧我はとっても冷静で見惚れる反面、余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)でムカつく。 くっそ、見てろよ霧我! ぼくだってやる時はやるんだからねっ! 少し意地になって睨(にら)むぼく。 だけど霧我は、ぼくじゃなくて、まっすぐ前を向いている。 相変わらずとってもクールだ。 「用意!!」 審判の合図で、ぼくは慌てて石膏で描かれたラインに右足を後ろにして膝を前にある左の足のつま先と平行にスタートのポーズをとった。 チラリと霧我を横目で見ると、右足を後ろに置いて、前にある左足のかかとから脛骨(けいこつ)よりも長く構えていた。 スタートの構えを取る姿さえもカッコイイとか、そんなのナシだよ!! 落ち着き払っている霧我に心の中では大声で怒鳴って、ぼくもゴールがある前を見据える。 パンッ!! 号砲がなって、ぼくと霧我、そして同じく競争に参加しているぼくと霧我を合わせて合計4人が真っ白いラインに囲まれたゴールまでの直線の大地を蹴って走る。 はじめは、4人とも横一列に並んでいたけど、少しずつ距離が開き、真ん中あたりではぼくと霧我がそろって前に出た。 くっそ、負けないからっ!! 大地を強く蹴って、霧我と並ぶけど、足のリーチはやっぱり霧我の方が有利なんだ。 向かい風がやってくるせいで余計に息は乱れる。 霧我に引き剥(は)がされないように必死に走って、走って……。 |