chapter:☆隠しきれない想い☆ パンッ!! 審判の横をすり抜けた時、決着の号砲が鳴った。 精一杯走ったから、頭が酸欠状態でクラクラ。 息苦しくなって前かがみで膝を持って身体を支えた。 「しんぱ……タイムは?」 「雨宮、有栖川共に12秒01」 ぜぇぜぇと息を整えながらの言葉で尋ねたら、審判はニッコリ笑ってそう言った。 同着……。 「すっごい!! 12秒って……速い!!」 「お疲れ様!!」 みんなはぼくをそうやって労ってくれる。 だけど……。 ひとつぐらい、霧我に勝ちたかった。 それでぼくを意識してほしかった。 だけど、けっきょく霧我を追い抜くことなんてできやしない。 そう思うと、同着で霧我の隣に並べて嬉しい気持ちよりも苦しさと悲しさの方が強くなる。 霧我の方を見れば、もう汗は引きつつあって、女子たちに囲まれながら涼しい顔して呼吸を整えている。 その表情がよけいにイラってくる。 なんだよ。なんだよ。霧我のばか!! ぼくと競い合って少しくらい苦しそうな顔をしてくれたっていいじゃんか!! 平然としちゃってさ……。 ぼくばっかりムキになってさ、バカみたいじゃん……。 霧我には一生かかっても追いつけない。 霧我は特別で、ぼくは凡人。 対等にはなれないって思い知らされる。 考えれば考えるほど、鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなってくる。 |