chapter:★ライバル登場★ 彼女は胸をふくらませ、深呼吸を繰り返している女子を、何とも言えない気持ちのまま見つめていると、ズイっと真っ白い横封筒をぼくの目の前に差し出した。 ラブレターだ。 真っ白い横封筒を見たとたん、それが何なのかを確信した。 「これを……有栖川くんに……渡してほしいんです」 その声はとても小さくて、まるで鈴虫の羽音のように涼やかだった。 ほらね。やっぱり彼女が想っているのは霧我だった。 彼女は霧我を想っているぼくに、彼女の想いを伝える手助けをしてほしいと、そう言っている。 イヤだ。 言いたいことがあれば、直接本人に渡してほしい。 ぼくを巻き込まないでほしい。 断るためにグッと両手を拳にして力を入れて唾がなくなったカラカラの口をあけた。 両手で白い封筒を差し出す彼女を見つめる。 すべては、女子のお願いを断るために――。 ……だけど……。 「わかった。渡すだけでいいんだよね」 乾ききった唇は、ぼくの意志とは関係なく勝手に動いた。 自分が言った言葉にびっくりしてしまう。 ぼくがしどろもどろになっている間にも、目の前にいるふたりの女子の表情は花が咲いたように明るくなっていく……。 「ありがとう。お願いします!!」 「よかったね、美亜(みあ)!!」 「うん。ありがとう、雨宮くん」 |