chapter:★残酷な言葉★ 『本心を伝えなきゃ、取られなくてもいいものを取られてしまうよ?』 グルグル、グルグル回るのは、生徒会室から立ち去り際に言われた紅葉の言葉だ。 朝のホームルームが始まってからも、重たい頭を塞いで机に突っ伏す。 そんなぼくに、同じクラスの男子とか女子が数人心配して話しかけてくれたけど、渡したくない片想いの人に他人からのラブレターを渡したからだとは言えず、深夜からずっとテレビゲームをしていたから寝不足なんだと嘘をついてその場をやり過ごした。 今日は、霧我から話しかけてきてはくれない。 彼は相変わらず完璧で、先生の言われた仕事を反発せずにやりこなす。 ぼくがどうなろうと、霧我は別に気にしない。 そう言えば、そうだった。 霧我からぼくに話しかけてくれたこと、一度もない。 休み時間とか、先生に頼み事をされた時とか、いつもぼくから霧我に話しかけていたんだ。 それは霧我にしてみれば、ぼくはただの同じ委員会のひとりにすぎなかったっていうこと――。 昨日、ぼくを探しに来たのもきっと、生徒会の仕事が終わらなくって、人手が足りなかっただけのこと……。 きっと……それだけだ。 あらためて思い知らされる真実に、ズキン、ズキンと頭と一緒に胸も痛くなる。 キーンコーン。 ホームルームが終わるチャイムを耳にして、すぐのタイミングで、大好きな人の姿をちらっと目の端っこでとらえてみる。 |