chapter:★残酷な言葉★ そうしたら、昨日、手渡されたラブレターの女子と話していた。 ふたりはそのまま教室を出てどこかに行く。 昨日の返事をするの? 霧我はなんて答えるの? ふたりは付き合うの? 「……っつ!!」 ガタンッ!! あんなに重かった身体が動く。 ぼくは教室から去っていったふたりの姿を追いかけた。 どこ? どこに行ったの? 長い廊下を出て、行き交う生徒たちをかいくぐりながら、ぼくはふたりの姿を探した。 そうしたら、階段の方にさっきの女子の姿が見えて、急ぎ足で追いかける。 ふたりの背中にぴったり張り付いてやって来たのは、ほっそりとした木が囲っている静かな裏庭だった。 ぼくは近くにあった木に隠れて、女子を背中にして向かい合うふたりのやり取りをジッと見つめる。 「手紙のことなんだが……」 そう切り出したのは霧我だった。 ドクン、ドクン。 破れるんじゃないかっていうくらい、強く鼓動を繰り返す心臓は、他人にも聞こえてしまうんじゃないかと思うくらいうるさい。 ……ゴクン。 胃からこみ上げてきそうな何かを飲みこむために、喉を上下に動かしてその場に立ち尽くす。 視界が揺れるのは、これから霧我と彼女が付き合うかもしれないと思う悲しい気持ちがあるから……。 ぼくが両手をギュッと握って拳をつくった直後、霧我の口はふたたびひらいた。 |