chapter:☆言葉、伝えられなくて……。☆ 「生徒会、行けなくてごめんなさい。明日は行くようにするから」 何でもないと言うために、振り返って霧我を見る。 その霧我の表情は、眉間に皺を寄せていた。 まるで、ぼくがどういうことを思っているのかをたしかめるような、そんな感じだ。 やめて、ぼくを見ないで。 知らないでしょ? ぼくがどんなに霧我を好きかっていうこと。 知らないでしょ? いつも霧我を見ているっていうこと。 知らないでしょ? ぼくが今……どんな気持ちで手紙を渡したかってこと……。 ――そう。 霧我は何も知らない。 ぼくのすべてを見透かそうとしているような鋭い視線に居たたまれなくなったぼくは、霧我から目を逸(そ)らし、背中を向ける。 「でっ、でもさ、霧我もモテるよね。こうしてたくさんの女子からラブレターたくさんもらっちゃってさ。同じ男として羨ましいな……」 告白して気持ち悪がられるくらいなら、友達のままでいい。 それがいい。 そうしたら、ずっと霧我の隣にいられるんだから……。 たとえ、霧我の特別席がぼくじゃなかったとしても……。 霧我の側にいられるなら、それでいいんだ……。 そう自分に言い聞かせるぼくは、苦しい気持ちをまぎらわせるために両手を空高く上げて、うんっと背伸びをしてみる。 だけど、気なんて全然、まぎれない。 だって、ぼくの近くには霧我がいて、その手には、あのかわいらしい女子から手渡された白い封筒がある。 |