お願い、ギュッてして!
☆第七話☆





chapter:☆言葉、伝えられなくて……。☆





チクチク、チクチク。

背中を刺すのは霧我の視線。



「鈴!!」


「じゃ、また明日ね。心配かけちゃってごめんね。バイバイ、霧我」


霧我が最後にぼくを呼び止めるのも聞かず、そのままゆっくりとした足取りで屋上を後にした。




翌朝、ぼくは朝早くから昨日行けなかった生徒会の仕事分を取り戻すため、重い足を生徒会室に向けた。



ぼくの仕事はいたって簡単。

霧我と紅葉が不必要だと思った提案書を部門に分けてダンボール箱に詰める作業だ。


えっと……これはこっちで……。この分は……。


なんてひとりでコソコソ仕分けをしていた。


「やあ、鈴。今日は早出かい?」

ふいに後ろから聞こえた明るい声に、手を止めて振り返る。


そこには、いつもと変わらない、何かをたくらむような口角が上がった微笑みをする紅葉がいた。



「紅葉、あの……昨日は無断で生徒会に来なくてごめんなさい」

重い腰を上げて紅葉と向き合うと、深々と頭を下げた。


その瞬間、ぼくの頭がクラッとしたのは、きっと昨日、霧我に渡したくもない女子からのラブレターを渡したからだ。


「いや、それはいい。おかげで面白いものが見れたからな」

面白いもの?



てっきり生徒会に顔を出せなかった理由を訊(き)かれるか、おじょくられるかどっちかだと思ったのに、考えもしない紅葉の反応に、下げた顔を上げて、首をかしげた。





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