お願い、ギュッてして!
☆第七話☆





chapter:☆言葉、伝えられなくて……☆





そうしたら、紅葉はぼくの顔色をうかがって、眉根を寄せる。



「……鈴、少し顔色が悪いぞ?」

「あ、なんでも……」――なくなんかはないけど、他になんて言えばいいのかわからず口ごもる。


「なんでも……? 本当に?」


あ、そうだ。

紅葉は人の顔色を見るのが得意だということを忘れてた。

昨日の出来事を言おうか。


でも……紅葉に言ったところでどうしようもない。



一度口を開けて、また閉じる。


「昨日の放課後か? 血相をかいて霧我が鈴を探しに行った時か? それともその前か?」



ドキンッ。


図星だ。

思わず心臓が跳ね、両肩が小刻みに動いた。


紅葉は何かに勘づいたらしく、茶色い瞳の奥が光っている。


「やはりな……霧我関連か?」


――ああ、やっぱり紅葉には隠し通せない。


ぼくは観念すると、視線は床に置いて、ゆっくりと唇を動かした。


「昨日の放課後、生徒会室に行こうとした時にラブレターを霧我に渡してほしいって女子に呼び出された。どうしたらいいのか迷っていたその後、霧我が来て……」


告げた言葉は震えていた。

途中で途切れてしまったのは、あまりにも悲しい現実が待っていたから、口の中にあった唾が喉に詰まったんだ。



「なるほど、そのラブレターを渡したのか。自分で渡せと言えばいいものを……」


視線を外した目の端っこでは、紅葉が顔を左右に振っていたのが見えた。





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