chapter:★残酷な言葉★ 「ごめん、好きなヤツがいるんだ。君への想いには応えられない」 霧我からの返事にびっくりしたのは、告白の手紙をぼくに渡した女子だけじゃない。 霧我を好きなぼくにとっても、衝撃的な言葉だった。 それは、彼女からの告白を断ってくれたという、ぼくの嬉しい気持ちを無残にも打ち砕く。 振られた女子は、ほっぺたに光る涙を残したまま、ぼくの存在に気づくことなく、涙を流しながら真横をすり抜けた。 霧我に、好きな人? いたんだ……。 いつから? その子はだれ? ぼくの知ってる人? 知らない人? 頭が真っ白になったぼくはただ、悲しい現実に立ちすくむ。 「鈴、立ち聞きは趣味が悪いぞ」 女子が去っていったすぐ後、霧我の声が聞こえた。 盗み聞きしてたこと、バレていたんだ……。 「霧我……好きな人、いたんだ……」 観念したぼくは木陰から出て、ゆっくり進むと、すぐに立ち止まる。 「俺が誰を好きでも、お前には関係ないことだ」 泣きそうなぼくに、ぴしゃりと言い放つ霧我。 どうしてだろうか、怒っているような雰囲気の霧我は、早口でそう言った。 いつもは、ぼくのこと『鈴』って言うのに、今は『お前』。 きっと、盗み聞きされたから怒ってるんだ。 だからって、そんな言い方はひどい。 霧我が誰かを好きなんだと思う関係……ぼくには大アリなんだ……。 |