お願い、ギュッてして!
★第八話★





chapter:★残酷な言葉★





「ごめん、好きなヤツがいるんだ。君への想いには応えられない」



霧我からの返事にびっくりしたのは、告白の手紙をぼくに渡した女子だけじゃない。

霧我を好きなぼくにとっても、衝撃的な言葉だった。


それは、彼女からの告白を断ってくれたという、ぼくの嬉しい気持ちを無残にも打ち砕く。


振られた女子は、ほっぺたに光る涙を残したまま、ぼくの存在に気づくことなく、涙を流しながら真横をすり抜けた。





霧我に、好きな人?


いたんだ……。


いつから?


その子はだれ?


ぼくの知ってる人?


知らない人?



頭が真っ白になったぼくはただ、悲しい現実に立ちすくむ。


「鈴、立ち聞きは趣味が悪いぞ」


女子が去っていったすぐ後、霧我の声が聞こえた。


盗み聞きしてたこと、バレていたんだ……。



「霧我……好きな人、いたんだ……」


観念したぼくは木陰から出て、ゆっくり進むと、すぐに立ち止まる。


「俺が誰を好きでも、お前には関係ないことだ」


泣きそうなぼくに、ぴしゃりと言い放つ霧我。

どうしてだろうか、怒っているような雰囲気の霧我は、早口でそう言った。


いつもは、ぼくのこと『鈴』って言うのに、今は『お前』。


きっと、盗み聞きされたから怒ってるんだ。


だからって、そんな言い方はひどい。

霧我が誰かを好きなんだと思う関係……ぼくには大アリなんだ……。





- 46 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom