chapter:☆お願い、ギュってして。☆ この霧我がぼくの幻想なら……もう少し甘えてみてもいいだろうか? 現実の霧我にはもう嫌われているけど、ぼくの夢の中の霧我なら、きっと甘やかしてくれるよね。 「……むが……」 「なんだ?」 「みず、ほしい」 真っ白いふわふわな上掛け布団からそっと右手を出して、霧我のカッターシャツの袖をキュッと引っ張ってみる。 「ああ、これか」 そうしたら、優しい霧我はストローつきのペットボトルを取り出して、ぼくの口に差し込んでくれた。 カラカラの喉は冷たい水で潤されていく……。 目からは涙が出てきた。 「鈴、しんどいか?」 ――優しい霧我。 ――あたたかい霧我。 だけど、この霧我は現実じゃない。 現実の霧我は……ぼくを嫌っている。 気持ち悪いと、思わている。 ぼくは……もう、霧我の側にはいられないんだ……。 「鈴?」 流れ出た涙をそっと拭ってくれる優しい指……。 夢の中でもそれは変わらないんだね。 「霧我……ごめんね……」 好きでいて、ごめんね。 好きになって……。 「ごめんね」 ごめんね。 拭ってくれる指にほっぺたをすり寄せて謝れば、霧我は優しくほっぺたを手のひらで包んでくれる。 「鈴? 何を謝っているんだ?」 霧我はそう言うと、眉間にしわを寄せていた。 ぼくが謝っている理由を考えているみたい。 |