chapter:☆お願い、ギュってして。☆ 「これは夢。現実じゃない!! そんなこと言われたら、夢から覚めた現実が怖くなっちゃう。もう……お願いだから……もう、十分だから……やめて……」 これ以上、優しい言葉はかけないで。 ぼくの夢、早く覚めて!! 覚めてよ!! 両手で耳を押さえて、霧我の言葉を聞かないように首を振る。 そのたびに、目から溢(あふ)れた涙が散っていく……。 「鈴!!」 そんなぼくの体が、突然強い力に包まれた。 おかげで言葉がでなくなってしまう。 「現実だよ? これが現実なんだ。これは鈴の夢じゃない。鈴が気になったのは、同じクラスになってからだ。鈴はいつもそうやって俺を気にかけてくれた。明るい笑顔で俺に笑いかけてくれて……ドジなところは保護欲をそそられて……女子にイタズラされた髪型なんかは、可愛いし……ずっと見ていた」 「ちがう? ゆめ……じゃない?」 そう思ったのは、霧我の力強い腕に包まれたからだ。 ぼくは霧我の言葉を反芻(はんすう)する。 恐る恐る見上げれば、霧我は大きくうなずいた。 「でも……」 でも、そんなの簡単に信じられるわけがない。 だって……。 「だって霧我に話しかけるの、いつもぼくからだった」 「それは……鈴になんて話しかければいいか分からなかったから……」 「えっ?」 それって……。 「鈴と顔、合わせたら……緊張して、何を話せばいいのか分からなくなるんだ……」 |