chapter:☆お願い、ギュってして。☆ 霧我の言葉が嘘じゃないかを確かめる。 わっ、霧我の顔、すごい真っ赤だ。 今まで冷静沈着だった霧我。 顔色ひとつ変えなかったのに、今は赤面している。 だけど……だけどだけどだけど!! 「霧我、ぼくには関係ないって言った!!」 あの言葉はとても苦しいものだった。 時間が経った今でも、言われた時のことを思い出せば、涙が溢れてくる。 「アレは……好きな子から他の女子の橋渡しなんかされて苛立ったんだ。……ごめん、大人気なかった」 そりゃそうだ。 好きな人から誰かの告白のお手伝いなんかされたら、ぼくだと悲しくて泣いちゃうかも……。 ほんとうなの? 「ゆめ……ちがう?」 「ああ、夢じゃない……ほら、な?」 そう言って、さっきよりもずっと強い力で抱きしめられた。 だったら……。 これが夢じゃないっていうなら……。 「もっと……」 「?」 「もっと……ギュッてして……」 ぼくがお願いすると、霧我はまた強く抱きしめてくれる。 ぼくも霧我の広い背中に両手をまわし、体温を感じた。 ……トクン、トクン。 胸に押し当てられたぼくの耳には、霧我の心音が心地よく響く。 本当だ……夢じゃない。 「好きだよ、鈴。好きだ」 少し速い心音を聞きながら、ぼくはまた目を閉じた。 チュッ。 唇に当たった優しくてあたたかい感触は間違いなく現実のもの――。 |