ヒーローは挫けない
帰宅途中に敵に襲われてから数日、敵に襲われることもなく無事に登校した緑谷はいつものように友人と談笑していた
「でさ、峰田のやつ合宿で泊まりって聞いて喜んでただろ?あいつ女湯覗く気満々でいたんだぜ絶対」
楽しそうに話す上鳴の話の内容に苦笑いで答えるしかなかったが内心峰田くんならやりそうだなぁと思っていたりもした
「と、ところでさあのナーゲルグラディウスの話もういっかい聞かせてくれるかな?」
「またかよ好きだなー!」
そう聞いたのは少し不自然な点があるからだった
「切島と麗日と一緒に逃げてた後さ、めっちゃ敵きて俺周りに麗日たちいるし放電できないしもう駄目かと思ったんだよそしたらビュンッ!ヒーロー登場!ってね」
とある言葉を聞いて緑谷は真剣な顔をする
「僕切島くんからは、上鳴くんと麗日さんが止まって動くなくなった後、敵に会ってその後ナーゲルグラディウスに助けられたって聞いたんだ」
「へ?どゆこと?」
きょとんとする上鳴をよそに緑谷は考えていた
(たぶん切島くんか上鳴くんどちらかがあの男の幻覚個性にやられてる・・・?
いや二人だけじゃない皆が恐らく幻覚をみせられている、最後にはあのナーゲルグラディウスに助けられている幻覚を、彼の姿をみている)
全員にナーゲルグラディウスの姿をみせて助けてあの敵になんの得があるのか、もしかしてナーゲルグラディスに何か関係が・・・?
どんどん頭の中が混乱してきた緑谷の表情が険しくなっていった
「そいつもクロだと思ったほうがいい」
遠くで聞いていた轟が緑谷の席へ近づく
「轟くん・・・そいつってまさか、ナーゲルグラディウスのこと?」
轟は無言で頷き峰田の机にもたれ掛かる「ちょっ轟ィ!!」
「敵の目的が見えてこねぇが用心に越した事はない ナーゲルはともかく幻覚野郎、緑谷の会った赤い結晶のヴィランはまた会うことになるだろうな」
「あの幻覚野郎・・・今度会ったらブッ殺す・・・!!!」
轟の言葉を聞いた爆豪が怒鳴る 怒るのも無理はない攻撃タイプの彼が何もできずに幻覚にかかり目が覚めたら事が終わっていたのだから
緑谷も轟も赤い結晶のヴィラン"スパーダ"の存在と幻覚のヴィランの対応策を考えていた 幻覚についてはどうにか抜け出す策を見つけるしかない
「緑谷はその例の赤のヴィランの対策を考えてくれ」
そう言うのも前者は緑谷のみが遭遇しているうえに相手はおそらく体術に、かなり長けている
(あの赤のヴィランはどう考えても一般人の動きじゃなかった 僕だけじゃどうにか出来る相手・・・いやそれよりもあの人の違和感は)
ざわざわとした一組の教室に突然の放送が鳴る<<ヒーロー科一年A組は至急、大ホールへ集合してください>>
「次英語の授業だっけ?大ホールで何するんだろう」
「あれじゃない?!映像教材見せる為じゃない!?」
わいわいと芦戸と葉隠話しながら移動の準備をするそれを制止するかのように轟がドアの前に立つ
「轟くん?どしたの?」
一部の生徒の表情が曇る 今の放送に違和感があったからだ
緑谷も轟の横に並ぶ「皆、いつもと違うことが起きたら、警戒しておいた方がいいかも・・・」
「や、やめろよ緑谷ァ!学校内に敵が現れるわけないだろ!?」
「雄英は突然なんて事がよくあるが、プレゼントマイクにしては地味な呼び出しだな・・・・・・嫌な予感がする」
慌てて机の下に隠れ怯える峰田の言葉をムシしながら緑谷の言葉に常闇が共感した
「ああ、緑谷に幻覚野郎が言った条件のことを考えると、俺達はもう"いつでも敵の幻覚にかかる状態"だろうからな」
「じゃあさ、もういっそウチラここで待機しとけば・・・」
耳郎がおずおずと発言する中、緑谷は部屋を見渡した
「あの幻覚にかかってた時通学路の見た目がちょっとおかしかったんだ・・・なんか若干歪みがあるような その時はすごく僅かな変化だったけど」
皆が辺りを見渡すがどこにもおかしい様子はない
「・・・・今は授業中にしても、外から全く人の話声がしないな」
触種を動かしながら障子が呟く 慌てて走り出した尾白が教室のドアを空け外をみた「なんだ、これ・・・!」
この部屋以外が所々ぐにゃりと歪んでいる
「まじかよ・・・!皆いつでも戦えるようにしとけよ〜」
冷や汗をかいた上鳴が自分に言い聞かせるように言う その直後放送のなったスピーカーから声が流れた
<<あーお集まりの皆さんご機嫌いかがでしょうか?全員揃っているようで安心しました あ、僕プレゼントマイクの声真似なんてしませんよ紳士ですからね>>
ガタッと爆豪が立ち上がる
「てめぇ・・・!幻覚野郎だな・・・」
轟が落ち着いた様子で話しかけるいつでも攻撃ができる体勢で
「なんのつもりか知らねぇがあんたの個性バレてんだよこそこそしてねぇで出てこい」
<<バレたところでどうにかできますか? 僕、貴方の目の前にいるんですよ轟くん>>
その言葉を聞いた轟がすばやく後ろへ逃げ、前方を凍らした
<<まぁ嘘ですけどね あーそれと幻覚野郎ってなんてヒーローを目指す者の口から出る言葉とは思えない響き・・・僕のことは"ソムニウム"とお呼び下さい>>
からかうように嘘をつくソムニウムに轟は落ち着いた様子だったが、これがかっちゃんだったら怒り狂ってるだろうなと緑谷は思っていた
<<冗談はさておき、君達にはちょっと観客になってもらいたくてね 楽しいですよ〜ドロドロした復讐劇なんですけど>>
「観客・・・復讐?何言ってやがる」
誰もが意味がわからないといった様子で聞いていた すると黒板が歪み、ある映像が映し出される
「オールマイト!?」
緑谷の目にうつったのは誰かと戦うオールマイトの姿
「これが・・・真実だという証拠はあるのか!?」
飯田が疑う 全員の目にも同じものがうつっていたようだ
<<信じないのは君達の勝手ですが、オールマイトを含む先生方が今君達を助けんとしているのですよね>> (まぁ僕が興味があるのはそっちの復讐劇じゃないんだな〜)
どうやら先生たちには幻覚をみせていないのか、みせられないのかわからなかったが今自分達が人質にとられているのを理解する
「なにが観客だよ!人質じゃねぇか俺ら!」
上鳴がショックを受けながらながら崩れ落ちる
「解せませんわね私たちが大人しく捕まっていると思っていますの?」
<<だろうね やはりヒーロー目指す君達なら、そう来なくては!>>
八百万の言葉を聞いた幻覚使いが笑うその直後教室が歪み場所が変わった
以前プレゼントマイクが実技試験の説明をしていた大ホールだ
爆豪が何か考え事をしながら静かに立ち上がる
<<いや〜苦労しましたよ君達全員をここに誘導するのは いやほんとくたくたです>>
今度は幻覚ではない椅子や壁の感触を確かめながら轟は苦い顔をした
(くそ・・・一体いつからかけられていた 壁や椅子の感触には今まで違和感なんてなかったはずだ)
轟にはそれが判らないほどに相手の能力が高いということに気付かされていた
奥ではさきほどのオールマイト達が戦っている様子が映し出されている
どうやら敵は一人どころではないらしい
<<僕は戦いませんからね 肉体労働なんて真っ平ごめんです、ここでの労働はうちの剣"スパーダ"が皆さんの相手してくださいますから、頑張ってくださいね>>
ホールの中央にある教壇が照らされる、そこにはあの赤のヴィラン"スパーダ"が立っていた
「あれは・・・」
その場の全員が息を飲む しかしその人物は攻撃を仕掛けてこない 静かに佇むその姿からは只者ではない雰囲気が感じ取れる
どうやらこの部屋から出ないように見張る監視役らしい 出入り口に近づこうものなら、必ず襲い掛かってくるはずだ
緑谷は以前から、あの襲われた時から薄々感じていた違和感を思い出す そしてそれを確信に変えるためにゆっくりと歩き出した
「緑谷!今は様子を見るんだ 下手に動くとあいつは必ず襲い掛かってくる」
「轟くん、お願いがあるんだ」
轟は敵の方へと歩きだす緑谷を止めようと伸ばした手が制止する
緑谷の横顔に浮かぶ真剣な眼差しはスパーダの姿をとらえていた
「・・・緑谷?」
「デクくん・・・?」
「緑谷くん、一体どうしたというんだ」
その様子をみていた麗日や飯田たちも緑谷の雰囲気がいつもと違うのに気付く
「僕あのヴィランに確かめたいことがあるんだ、もし・・・いや、あの人のこと僕に任せてくれないかな」
「・・・・・一旦な、」
なにか作戦でもあるのだろうかいつもと違う友人の一言に轟はそう言うしかなかった
緑谷は頷きゆっくりとスパーダの方へ向かって行った
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