愉快犯と爆撃


相澤は一人別行動をしていた
ヴィランが雄英に再び現れ、自分の受け持つクラスの生徒を人質にされるという最悪の状況の中で
自分にはヴィランと戦う前にどうしても会わなければならない人物がいた
「幻間」
混乱する学校内でどこかへ行こうとする幻間捜査官が自分の名を呼ばれ振り返る
「相澤さん!この騒ぎはやはり例の・・・!」
「ああ、そうだなしてやられたよ」
「相澤さんも皆さんの元へ急ぎましょう!どうにか生徒達を逃がす策を・・・」
慌てた様子の幻間捜査官の姿を静かに睨み、捕縛武器を揺らしながら相澤は口を開いた
「策ならある 目の前にな 学校が助けを求めた相手の中に"騒動の元の一部"がいたとはな 幻間捜査官お前・・・ヴィランを中から呼び込みやがったな」
「な、何を言ってるんです・・・?」
必死に自分ではないと否定する幻間捜査官の言葉を遮るように、相澤は捕縛武器で捕らえる
「!?落ち着いてください貴方は何か思い違いを!」
「往生際が悪いな幻間・・・俺達は思い違いをさせられてたんだよお前にな生徒の話やお前の過去にした行動、そしてその個性ではっきり解った」
ピクリと幻間が反応する
「警官のお前が個性登録を逃れられることはできない お前の個性にはデメリットがあるだろうこの活動不能時間を待っていた」
「・・・・」
「塚内さんも前々から"訳あり"新人のお前を気にかけていたらしいが、悪い方向に発覚するとはな」
幻間はため息をつき諦めたように脱力する
「・・・・流石先生でも、僕を捕まえた所で状況は何も変わりませんよ あ、因みに生徒のスパイ情報はデマです良かったですね」
(今後の展開が見れないのは残念だけど ホールからもすぐに抜け出せるだろう、その為の、彼らの為の、布陣だ)
「緑谷を襲ったもう一人のやつはどこだ」
「ああ、あれは作戦が失敗したらいや、とり憑いた奴が個性を解除した時一緒に爆破するようになってるんですよね道連れです」
時計をチラリと見た幻間の表情には余裕があるのか、どこか吹っ切れた様子に思えた
とり憑いたと聞いて相澤は気付く
「お前・・・まさか一般人を」
緑谷を襲った人物のみかと思われたが、その人物に"とり憑く個性の人物"の存在に息を飲む(・・・どおりで調べても出てこないはずだ一般人二人を使っているとは)
「便利な個性ですよ彼もまた個性で苦労した人生をおくっていたので僕が助けました もう一人はおもしろい過去でしてね、親の仇の仲間になって手助けをしてるなんて傑作でしょう」
ハハハあいつの復讐劇みたかったんだけどなぁと呟く幻間は笑っている 清々しいほどの笑顔で
(二人だけなら・・・いやしかし)その二人を使って生徒たちを人質にとっていた が、その場から逃げる為に生徒はその二人が一般人だと知らずに攻撃するだろう
「生徒だけじゃないですよ・・・オールマイトの中にも生徒と同じ爆弾が仕込まれてますからいつでも人質にとれますしいつでも"やれる"でしょうね」
「・・・なんだと?」
「体内の血液が支配されるなんて事になればその人はどうなるでしょう さて、薄々気付いていると思いますが僕は捨て駒にすぎません」
「だろうな、こんなあっさり捕まる間抜けは捨て駒かアホくらいのもんだ 裏ではまだ"誰か"が動いてるだろう」
「僕は認められた受け入れられた全力を出せた囮にだってなれるありがとう楽しめましたもう満足です」
にこりと微笑みながら目を閉じた幻間の姿に相澤はもういいと、笑う幻間の身体を捕縛武器で捕らえようとした
その時幻間の耳から通信機が転がり落ちる
(やはり裏がいるか)
幻間は、人から避けられる個性によって苦痛な日々を送っていた過去をもつ 長い間の苦痛が彼を狂わせ間違った方向へ進んでいった結果が今であると知る
(・・・他人から避けられる個性か、助けを求める相手が間違っていたな)
相澤は警察の塚内に幻間を引き取るように連絡をいれ自身は今危険な目にあっている生徒のいる場所へと向かった
はずだった 振り返ると捕らえたはずの幻間がいない (まさか・・・!チッ幻覚既にかけられてたか!)
「待て幻・・・!」そう言葉を発し個性を発動した瞬間爆発音が響く
部屋が歪み元に戻る廊下で煙が上がったそこには爆豪が、個性をぶつけられてのびている幻間をつかんでいる姿があった
「はっ!やっとすっきりしたわクソが!!」
自身が相澤から逃げるのに必死で生徒が狙ってきているとは気付いていなかったのだろうか、やけにあっさりと敗北した幻間の後ろで爆豪が満足げに見下ろしていた
幻間の腕の時計を見る(・・・・解除した時一緒に死ぬように、ってのはこの中の装置が関係してるのか)
やっとあの事件の中、一切手が出なかった敵に一発食らわせてやった事ににたりと笑う爆豪の頭を相澤は小突く
「ついでにこれ壊しとけ」幻間に悪態を付けながら幻間のつけていた時計と通信機を爆破する爆豪と共に捕らえられた生徒の元へ向かった

遠のく意識の中幻間は今までの出来事を思い返していた
僕の過去ははっきり言って個性のせいで良い思い出が無い正しい道を歩いてきたこれからも行くつもりだった でも個性を使うたび外れ、人は離れていった
子どもの頃も警官になってからもそして落ちぶれた今も変わらないまま もうこれが僕の正しい道なんだと感じた 自分は根っからのヴィラン向きの個性だと
ある日の、復讐にとりつかれた彼女は言った、そんなものはお前が立ち向かうだけの強さがないだけだ、と
じわじわと彼女の言葉が歩く僕を振り向かせた 今はヴィランとして楽しいはずだそうなんだ でもなぜか
(僕の復讐心、貴女に預けていいですか) そう憑駒にとりつかせる前にふと言ってしまった
彼女の復讐の行く末がどうなるか僕にはわからない、ただ今僕がわざと生徒と彼女を会わせるよう配置したのは、心のどこかで救済を願っているのかもしれない
結局僕は、どっちになりたいかなんて最初から解っていながら間をふらふらと彷徨い落ちて、勝手に自分の姿と重ねた名も知らない彼女を助けようとしているただの馬鹿なんだと笑うしかない

(堅身さん、きっと気付いてないでしょうけど 同じものに憧れながらも、置いてきた貴方に この戦いは、)


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