罠に招かれる
「ようこそレッジェンダパークへ!」
施設の役員に案内されやって来たのはUSJより小規模な訓練施設この施設は初心者でも安全に利用できる施設として一般人も利用できる
訓練内容によって形が変わる仕組みになっており、誰にも知られることのない秘密の特訓も出来るVer.シークレットや
団体での連携訓練に特化したVer.チームのルームなど他にもさまざまな状況を体験できる場所である
「相澤先生お話は伺っております施設は貸切、全てVer.シークレットとなってますのでご安心ください」
「・・・はい、すみませんが数日お世話になります」
事情を聞いていた施設の役員が生徒に聞こえないようひっそりと相澤に話しかけた
教員たちは周りを警戒しながら施設内へ向かう
合宿先レッジェンダパークにて長時間の旅路からやっと開放された緑谷たち一行は
宿泊先できたるべき鍛練の時間に備えて大きな体育館のような施設内の部屋で準備を始めていた
「それにしてもなんで急に合宿なんだろ こういう行事の時ってもっと先に連絡なかったっけ」
誰もが思っていた疑問を麗日お茶子が呟いた
「だよなー」
軽くストレッチをしながらお茶子と同じ2班の班長である切島が同感の意を表す
「合宿内容予想はしてたけどほぼ地味な筋トレじゃんこれスケジュール考えたの誰よ」
隣で聞いていた4班の耳郎はぶつぶつ文句を言っていた
強化合宿という名の通りその身を鍛える内容だったがどこかいつもの雄英らしさが無かった
地味すぎる合宿のしおりも時間をかけて作ったとは言えない簡単な物で、全くらしさのかけらもない
「・・・変ですわね」そう呟いた5班班長八百万百は怪訝な顔で奥で話す教員たちをみた
この地味な筋トレ合宿に引率したヒーローは担任を含め四人も居るのだ
いくらなんでも厳重すぎるたかが子供の校外授業に大人が四人も着いて行くものだろうか
しきりに辺りを見渡すヒーローや一定の距離からうろつくヒーローの様子をみる限りこの合宿には別に、何かの意味があるように思えた
そんなもやもやとした思いが生徒たちの間で巡るなか緑谷も同じように考えていた
ブツブツブツ(あのヒーローがなんで僕らの合宿に・・・いやこれは強化合宿だ地味な筋トレとは別の危険な試練が・・・いや特別な指導が!?)ブツブツブツ
「なにブツブツ言ってんの緑谷怖いよ」ひいた顔で耳郎が話しかけたその時今まで特に詳しい指示もしなかった相澤が口を開いた
「お前ら必ず班になって動けよそうじゃなかったら退学な」
「理不尽!!」思わず瀬呂が叫ぶ
一つため息をして相澤は話す
「あ〜・・・気になってると思うが後ろのヒーロー達だがお前らA組の身体能力をみておきたいんだとよ」
ゴゴゴゴ・・・・・・!!!!!
そう言い終わるか終わらないか、突然激しい地響きが鳴り響いた
「なっなになになにアトラクション!?」芦戸がわくわくしたような声で言う
「施設が勝手に動いてるな・・・・お前ら班に固まって動くな!メンバーの確認をしろ!」
落ち着いた表情で相澤が生徒に向かって強く言った
相澤は生徒の中の例のスパイが動き出したのではないかと生徒の様子を見渡す
ところがとくに変わった様子もなくそれぞれが普通の反応をしている
いつの間にか施設の役員たちの姿は見えなくなっていた
(・・・いや、これは俺達をおびき寄せる為の、)
「罠か!!」
地鳴りの直後後ろに控えていたヒーロー達は警戒を強め戦闘態勢にはいっていた
「蛙吹さん!常闇くん!障子くん!みんな大丈夫!?」
それぞれの返事が返ってきたそれを確認した後緑谷は相澤の方をみる
「先生・・・?」
様子がおかしい 相澤は攻撃態勢のまま目を閉じていた
相澤だけではない全てのヒーロー達が時が止まったかのようにその場で動かない
動いているのは生徒だけ、各班が動かなくなった四人の大人達を囲むように集まる
「なんか能力かかってんな・・・」
轟が静かに呟いた辺りには敵らしき姿が見当たらない 静寂に包まれた場に緊張が走る
一同が周りを見渡した ここには知らない誰かが、いる
「・・・・こそこそしやがって!!出てこいやオラァ!!」イライラしていた爆豪が叫んだ途端
その叫んだ状態のまま爆豪の時が止まる
「かっちゃん!?」
「爆豪!?」
まずい、その場に居る全員が悟る
「皆!班でバラバラに散るんだ!」飯田が叫んだと同時に動き出す「誰でもいい!学校に連ら、」
そう伝えた瞬間飯田の動きも止まってしまった
順番に僕らの動きを止めるつもりだ (一体どこから・・・!)
「うわ!?」
辺りをきょろきょろしていた緑谷を抱えて走り出したのは障子目蔵だ
「今は動きを止めないほうがいい」
確かにそうだいま僕らは動きを止めて敵の姿を探していた止まっていては狙いが定めやすい
こうやって散り散りに動けば次に止める相手を誰にするか少なからず迷うはずだ 緑谷は静かに頷いた
「皆を見渡せる場所にいそうね」
走ってきた蛙吹がそう冷静に言う
「この施設の二階か」
続いて走って来た常闇が障子と共に能力を使って周りを警戒している
だいぶ走ったようだが他の皆は無事だろうか
「この施設、広いな」
「体育館へ入る前と景色が違うわねこの施設が動いたからかしら」
障子が緑谷を降ろし、物陰に隠れる
先ほどいた機械的な場所とは違う、うっそうと木々が生い茂る森林に着いた
「学校に連絡、と言ったけどそうなると連絡手段はロッカーに置いた私達の携帯電話ね」
「そうだが、また戻ることになるぞ」
う〜んと悩む蛙吹と障子に緑谷は敵の様子について問う
「皆、何か気にかかることはなかった?」
「そうね・・・まず先生たちを狙ったのは何か理由があるのかしら」
「やっぱり邪魔されないためかな・・・生徒の方に用があった・・・?常闇くんはどうだった?」
「施設の者たちの姿も見えないのが気がかりだな ・・・俺たち以外グルという可能性もありうる」
小声で話していたところに障子が遮る
「誰か近づいてくる」
緑谷たちは息を潜めて構えた どう切り抜けるか考えたがどうやらその時間はないらしい
ザッザッザッ・・・ガサッ
何かを探すように茂みを探りながら足音が近づいた後、四人が隠れている茂みの前で止まった
緑谷は覚悟を決めて三人の方へ振り向いた
「僕が立ち上がった瞬間、皆はロッカーのとこへ走って!」
蛙吹たちが制止しようとしたが既に遅く緑谷は足音の主の前へ飛び出た 拳を握り締めて
常闇はそれを合図に蛙吹の手を引き障子とともに反対方向へ走り出た
そして緑谷の前に立ちはだかったのは
「自分を囮に仲間を逃がすその姿勢、まさにヒーローの卵、ですね」
知らない男だった 優しそうな笑顔をした、栗毛色の髪の毛の男
警戒をしながら後ずさる緑谷をみて困ったように笑う
「施設の人間です、と言っても信じてもらえなさそうですね」
「・・・さっき僕たちを狙っていたのは・・・」
「ふふ 初めまして少年、僕は個性を持て余した者たちを助けるお仕事をしているのですが、どうでしょう興味はありませんか?」
にこやかに話す男が座り込む
「持て余した・・・?すみませんがお断りします」
個性を持て余す、と聞いて真っ先に浮かぶのはヴィランだ その敵を手助けする仕事なんてあっていいはずがない
即答すると残念そうに笑う 男はどこかこの状況を楽しんでいるようだった
「ま、そうでしょうね・・・そして此処は、その者達が存分に暴れる事が出来るように僕が提供した場所なのですが、ちょっと暴れすぎた様で・・・すみませんね、緑谷出久くん」
真っ直ぐみる男の目を見た瞬間、視界が歪む
その直後首の後ろに激痛が走り、意識が遠のく 男の声が頭の中に響いてきた
「君はあの体育祭で結構有名でしたし みせる条件は既に充たしていたので良かったです 他は覚えるのに時間がかかりましたが」
(なに・・・を・・・言って・・・)
「・・・君の役目は"彼"が動く為の"きっかけ"です 大丈夫、助けが来ますよすぐにね」
(・・・か、・・・れ・・・?)
男が何か話した気がしたが、それを全て聞き取る前に緑谷は意識を失ってしまった
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