あの日の光は
小さい頃の夢をみた
いつものようにかっちゃん達にいじめられていた時、僕の前に仁王立ちで立つ、女の子がいた
「は?なにお前」
「お前じゃないわちゃんと名前があるのよ自己紹介しないとね私は――」
女の子がのほほんとした笑顔で名前を言おうとしたが
話を聞く前にかっちゃんが飛びだした 自分の個性で脅かすつもりだ
「おらあああ!!!」
ガッ ズシャア 威勢よく向かって行ったもののあっけなくかわされ女の子の足につまずいたかっちゃんは頭から盛大にこけた
「〜〜〜ッいっ!!」
「えっ!?ご、ごめん怪我させちゃったちょっとこっち来て」
ぎょっとした女の子は急いでかっちゃんの手を引いて水のみ場の所へ駆けて行った 色々心配で僕もついて行く
かっちゃんは振りほどこうと必死に踏ん張っていたが相手は女の子でもたぶん小学生高学年ぐらいの子だろうし、びくともしない
しばらくして諦めておとなしくなったかっちゃんの擦り剥いた額に水をかけて砂を洗い流していた
「よしっ大丈夫!軽い擦り傷でよかった!頑丈だね〜君」
傷跡に可愛らしい絆創膏を貼られたかっちゃんが似合わなくてちょっと笑いそうになったけど睨まれてひっこんだ
「君たちこの辺りに住んでるの?」
「う、うん お姉ちゃんは?」
「私おばあちゃんの家に遊びに来てるの あ、名前、心理だよよろしくね」
それから何度かその女の子と話すようになって、たまに来るかっちゃんは遠くからみてたけど一緒には遊ぼうとはしなかった
その事もあってか、心理お姉ちゃんと会ってる時だけ僕はいじめられなくなった
仲良くなってから色々聞いた 学校のこと優しい家族のこと性格が男の子っぽくて活発なこと
白いワンピースを着ていた心理お姉ちゃんは不満そうに「男がワンピース着てるみたいって言われるんだよね」と言った
(髪を伸ばしたら女の子っぽくなるよと提案したら変な顔をされた)そして僕が憧れてるヒーローのことを話した
「出久はどんなヒーローになりたいの?」
「えっとオールマイトみたいな強くて優しくて誰かを守れるような・・・」
「ふふ、なれそう出久優しいもんね」
恥ずかしながら話した僕の頭をくしゃりと撫でて呟いたお姉ちゃんの目はどこか悲しそうだった
「優しいだけじゃだめだよ・・・心理お姉ちゃんも僕と同じ無個性ならわかるでしょ」
うーんと一言
「やっぱり・・・」がっくりと肩を落とした僕の前では公園で楽しそうに個性持ちのこどもたちが遊んでいる
「出久」
心理お姉ちゃんは落ち着いた声で僕の名前を呟いた
「・・・」
「私もねヒーローにちょっと憧れてた、無個性って知る前はヒーローになって皆を守るんだって思ってた」
「周りも期待してたの、優秀な個性持ちの親からヒーローになる子が出来るって喜んでた でも無個性だった」
心理お姉ちゃんの話を聞きながら、僕が無個性だと言われたあの時の事を思い出してじわりと涙を浮かべた
うつむいたまま反応がない僕の様子をみて何を思ったのかそのまま頭に手を置いた、かと思うとガシガシと思いっきり撫でまくる
「!?いたたたた!ちょ、お姉ちゃん!」
「ごめんごめん!暗い話になったね!でもさ、ヒーローになれなくても守りたいものは変わらないし、なんていうか・・・
無個性だけど手が届く人たちだけでも守っていこうって努力していこうって、その時思ったんだよね」
(無個性だけど守る・・・努力・・・)
もしゃもしゃになった頭をかきながら僕は考える
「ま!家族を守るとか当たり前なんだけどさ 力が無くてもなにか出来ることあるって信じてる これは私の想い、だけど」
頷いたがまだ自信が無い お姉ちゃんはどうやって過去を乗り越えたのだろうか 「僕にも・・・誰かを助けれるのかな・・・」
「大丈夫よ、出久」
笑顔で話す心理お姉ちゃんのその言葉を聞いて顔を上げる
後ろの太陽が眩しくて目を細める お姉ちゃんの目が、髪がキラキラしている
彼女が自分自身に言い聞かせるようにも聞こえた"大丈夫" それがなんだか本当に"大丈夫"な気がして、不思議と安心した
「いつか出久がヒーローになった時は助けてね」
「え」ぼんやり考え事をしている僕に笑顔でそう言ってお姉ちゃんは立ち上がった お別れの時間だ
「・・・どっちかと言うと心理お姉ちゃんがヒーローになって僕を助けてそうだよ・・・」
「あははっ!弱気だな〜 応援してるよ」
お姉ちゃんは最後に「またね!・・・負けちゃだめだよ!」と言ってさよならをした
・・・・僕はいつか誰かをを守れるようなヒーローになれるんだろうか
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