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自分の力を吸い取られるような感覚があったが、それでも祈りは止めない。

やがて闇だけの視界に、僅かな光が灯った。

同時に、冷気も温もりに変わり始める。

(思い出して、本当の貴方を)

こんな所で縛られているのではなく、本当の姿に還って。

この地に加護を与えていた神の姿に。

(もう大丈夫だから)

神を縛り付ける力が砕け散ったのが分かった。

暖かな風が頬を撫で、そっと目を開けると柔らかな光が一瞬辺りを包む。

「結界は解けたわ。今なら入れる」

「あ、ああ。突入する!」

驚いた瞳で輝夜を見詰めていた扶鋤がはっとしたように兵達に指示を出し、自分も走り出す。

瞬く間に見張りを倒し、屋敷内に駆け込みながら隣の輝夜に言う。

「君は、本当に巫女だったのか」

「違うわ。私はただの娘よ」

輝夜は真顔で答えて新たな矢をつがえる。

「巫女でもないのに御霊鎮めが出来るのか?」

「昔から、声無きもの達の気持ちは分かるの」

言いながら矢を放ち、扶鋤の方に目を向ける。

「人が集まって来たわね」

「そうだな。急いだ方が良い。早くしないと捕らえられた村人達を盾にされるかもしれない」

長い回廊を駆け抜けた所で、後ろに続く兵士に告げる。

「この先を真っ直ぐに行って地下に降りれば牢がある。皆は行って村人を救出しろ」

「はっ」

兵士達と別れ、扶鋤と輝夜は屋敷の更に奥へと向かった。

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