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何も変わらず普段通りだから、見逃してしまいそうになるけれど。

表に出さない微かな声が、確かにこの胸を揺さぶるから。

「分かったら、もう一人ではあまり無茶をしない事ね。貴方はかけがえの無い人なのよ」

「おお、飛龍に説教してる女なんて始めて見たぜ」

「当然だろう。わざわざ会いに来た相手がこれではな。気絶しないだけ大したものだ」

「……聞こえているぞ。二人共」

端で見て人事と思って感心している様子に口を挟んだ飛龍に、輝夜は怒ったように続ける。

「ちょっと聞いているの、飛龍。少しは自分を大切にして、軽挙妄動は慎むべきよ。貴方に希望を託している人達が沢山いるのだから」

「やれやれ、また口やかましいのが増えたな」

飛龍は息を吐き、輝夜の頭を軽く叩いた。

「俺の事は良いから、お前は少し休め。途中でへばっても、俺は助けてやらんぞ」

「分かってるわ。絶対弱音なんか言わないわよ」

「ほう、その言葉を覚えておくぞ」

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