06
豊葦原の中つ国の中心に、帝が住む宮があるまほろばは位置する。
まほろばとは、最も秀でた所という意味を持つ。
重なり合う山々の青い垣を越えて初めてその地を目にした輝夜は、その名に込められた意味を悟った。
「どうした、何か珍しい物でもあったか?」
馬の相乗りをしている飛龍に尋ねられて後ろを振り向く。
「此処は、八百万の神々がいないのね。人々に向かって神が牙を向かないから、まほろばと呼ばれているのね」
「ああ……恐らくはな」
すぐ頭上でそう答えた飛龍の表情は見えない。
でもその声が低く沈んで聞こえたのは、気のせいだろうか。
その間にも、飛龍と赤羽の馬は整った都の中へと歩を進めていた。
数日前に赤羽と扶鋤が交わした会話が今になって現実となったのか、朝方から静かな雨が降り続いている。
充分に手入れの行き届いた田畑を横に見ながら進み、店が並ぶ通りを抜ける。
厳しい自然が猛威を奮って人々の生活に害を成す事も、此処では無いように思えた。
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Reservoir Amulet