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「二人は先に行ってろ。俺は馬の世話をしてから行く」

「ああ。頼んだぞ」

短く言葉を交わして、飛龍はさっさと歩き出した。

注意深く衛兵を避けながら奥へ進む飛龍に続きつつ、輝夜は益々呆れ返った。

「まるで泥棒ね」

「都合の悪い事に、俺の部屋は一番奥にあるからな」

飛龍は慣れた様子で植え込みの陰を進んで行く。

その後を追って背中を見詰めて、輝夜はそっと息をついた。

(この人は本当に、私が想像していた帝とは違うわね。それでも……)

こうして雨に髪を濡らして草葉の匂いを嗅いで、大地を感じて生きている。

そんな帝だからこそ、分かる事や出来る事があるのではないだろうか。

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