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「どうした、赤羽。難しい顔をして」

「いや、そんな事を平然と話すなんてとんでもない帝がいたもんだと思ってな」

赤羽の言葉に、飛龍が笑って言う。

「今頃気付いたのか?」

「そんな訳ねえだろう。再確認しただけだ」

話しながら馬を走らせている内に、夜明けが訪れた。

眩しい朝の光に目を細めた飛龍は、ふと眼差しを鋭くした。

自分が帝であり、天つ光の神の名を掲げる者であるのは分かっている。

この明るい日の下に生きる全てを大切に思う。

けれど同時に、夜の闇を憎む事が出来ないのも事実だ

これが、飛龍が今までの帝と違うところなのだろう。

生まれは、血筋は明らかに光の者であるのに。

(本当は、俺が真の闇なのかもしれんな)

愚帝だ滅帝だと言われようとも、どうしても譲れない部分がある。

決して無くなりはせず、何度も繰り返す痛み。

自分の体が抉られる程の心痛が。

飛龍が自ら戦場に出る理由の一つだった。





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