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飛龍の部屋に入ると、そこでは既に穏やかな微笑をたたえた青年が待ち構えていた。
「お帰りなさい。予定の三月を十日も過ぎていますが、思ったよりも早いお戻りですね」
「……角鹿、どうしてお前はそういつも俺が帰ったのを先に知っているんだ?」
「赤羽が戻ったと聞きましたので」
「やれやれ、お前は本当に耳が早いな」
角鹿はそこで、飛龍の後ろに控えている輝夜に気付いて目を見張った。
「おや、こちらは?」
「ああ、輝夜だ。高千穂で武勲を立てて同行する事になった」
紹介されて頭を下げた輝夜を、角鹿は驚いたように見詰める。
「……あの、失礼ですが女性、ですよね?」
「ええ。初めまして」
角鹿は意味ありげに飛龍に目を向けた。
「これは意外ですね。貴方が女性を連れて来るとは」
「ふむ、角鹿もすぐに見抜いたか。輝夜、お前の男装はあまり意味が無いようだぞ」
「よく言うわね、本気で私を男だと思った人が」
気軽に言葉を交わす二人の様子を見て、角鹿は益々興味深そうな顔をした。
「これは、本当に意外ですね」
「別に問題は無かろう」
飛龍が向き直って言った。
「どうせ部屋は山程余っているのだからな。俺の客人として持て成せ」
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Reservoir Amulet