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此処の空気は本当に変わらない。
いつまで経っても馴染めないのは、自分の方が変なのだろうか。
脇息に身をもたせて髪をかき上げた時、角鹿が入って来た。
「部屋は此処から近い所に用意させました」
「ああ、その方が良いな。宮中ではつまらぬ争いが多いから、巻き込むような事はしたくない。特に輝夜などは、性悪な者どもの標的になりそうだ」
「純粋なお嬢さんのようですしね」
角鹿はそう言うと、飛龍を探るように見た。
「ではどうして、輝夜を貴方のお嫌いな宮中へ連れて来たのですか?」
「……気になる事がある」
低い声で答えた飛龍は、考え込んでいる仕草で額に手を当てる。
「輝夜は最初から俺が何者か知っていた。ただの村娘だと自分では言っているが、荒御魂を鎮める力を持っている」
「闇の間者かもしれないと?」
瞳を鋭くした角鹿に、苦笑して否定する。
「それは無いだろう。どんなに隠したところで闇の気配は俺には分かる。それに」
『私は必ず貴方に認めさせてみせる』
真っ直ぐにこちらを見据えて言い切った、止められない水の流れのような眼差しを思い出して息を吐く。
「戦に胸を痛める娘なら、自分の郷で泣きながら出て行った者の帰りを待つだけで良いだろう。面と向かって俺に啖呵を切って弓矢を手に戦場に出て行くような奴に、我が身を守る為の賢しげな計算など出来ぬ。お前と同じでな」
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Reservoir Amulet