14


「さて、何の事やら私には分かりませんが」

「とぼけても無駄だぜ。帝に喧嘩を売った衛士の話は有名だからな」

不意に違う声がして顔を向けると、赤羽が入って来た。

腰を下ろして角鹿の方を見る。

角鹿は元々は宮を護衛する為の衛士だった。

本来ならば帝の側に近付く事さえ許されない立場だ。

しかし赤羽が帝に書類を付き付けて捕まった宴で、混乱する場に紛れて近付いたのだ。

辺りのざわめきなど気にもせずに赤羽が持って来た書類に目を落としていた帝の前に立ち、臆さずに口を開いた。

『貴方に覚悟が無ければ、また同じ事を繰り返すでしょう。荒れた国を建て直すのは難しい。私には、到底貴方に成せるとは思えません』

角鹿は涼しい顔で赤羽に応じる。

「赤羽に触発されたのですよ。自分の命も省みない勇敢なお姿にね」

「よく言うぜ。もしも俺が現れなくても、同じ事をするつもりだったんだろ?でなきゃ、外を護衛してる筈の奴が機会を待ってたようにあの場所に来れるかよ」

「おや、いつに無く鋭いご指摘ですね」

感心した様子で明確な答えをはぐらかした角鹿に、赤羽は息を吐く。

「全く、お前は食えない奴だよな。ま、衛士よりは今の方が似合ってるんじゃねえか」

「まさか私が側近になるとはね。帝の寛大さには頭が下がりますよ」

- 125 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet