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思い返す瞳で、雨が落ちて来る空を見上げる。

「旅の間に、帝についての色々な話を聞いたわ。希望としている人、どうせ今までと変わりはしないと諦めている人……。でも誰も飛龍の事を知っている訳では無いのよ。知らないのに、帝だと言うだけで全てを判断するの。私はそうはなりたくなかったわ。貴方を知らないまま、諦めたくなかったの」

「それだけではるばる俺に会いに旅をして来たのか。よくよく暇な奴だな」

そう言うと、まだ幼さを残す少女は僅かに俯いた。

目に映る黄金色の髪は、月の優しい光を思い出させた。

男物の衣を着ていても女らしい華奢な体をしていると、今なら分かる。

こんな細く小さな体で、よく長い旅が出来たと感心してしまう。

「お前に俺の事が分かる筈無いって言いたいんでしょう。勿論私は帝じゃないし、貴方とも会ったばかりで分からない事だらけだわ。それでも、諦めてしまったらそこで終わってしまうのよ。私はまだまだ子供で、難しい政の事も分からない。けれど今の豊葦原が神からも見放される程荒れているのは事実なのよ。その建て直しを任せられる帝かどうか、確かめなくてはならないの。もしそうでなかったなら、民の為にもこれ以上荒れない内に新たな帝が立たないと」

「……別に、悪いとは言っていないだろう」

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