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飛龍は息を吐いて、代わりに尋ねようとした言葉を飲み込んだ。

どうしてそんなに豊葦原の為に必死なのか。

娘らしくない使命を抱いて此処まで来たのか。

「安心しろ。お前が俺は帝に相応しくないと思った時には、大人しく殺されてやる」

逃げも隠れもせずに。

この娘に殺されるなら、多分そんなに悪くはないだろう。

「もう、どうして分からないの!ツケを払わないでお店のお手伝いをしている人なんて、相応しくないと思えばとっくに殺してるわよ!」

突然輝夜が怒り出して、飛龍は驚いたように目を見張った。

「貴方しかいないのよ!一目見て、すぐにこの人だと分かったわ。どんなに私が違うと言い聞かせても逆らえない。分かってしまったの、貴方が帝なのだと」

今も感じるのに。

飛龍が纏う、挑むような大きな気配を。

「でも貴方は帝である前に飛龍という人で、私と同じように悩んだり苦しんだりするわよね。だから理解したいの。貴方は希望であり、同時に絶望へも繋がる。それでも貴方しかいないから、私は貴方に賭けているのよ。貴方が希望なのだと、そう信じて此処まで来たの。世界中誰が信じないとしても、私は貴方を信じてる」

そうでなくてはならない。

世界中の誰もが、例え飛龍自身が信じていなくても、自分だけは。

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