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雨が止んでから宮中に戻った二人の話を聞いた角鹿は予想通り笑顔で怒り出し、赤羽は呆れ返った。
「全く、貴方は何をなさっているのです。国を導く太陽のような存在が、店の料金も払わずにいるなど。恥ずかしいにも程があります」
「何で俺はこんな奴に仕えてんだ……?時々無性に己に問いたくなるぜ」
衣を改めた飛龍は、息を吐いて二人の話を遮った。
「もう良いか?話があるのだが」
「誰のせいでいつも同じ話を繰り返していると思うのです!」
怒鳴った角鹿に苦笑し、飛龍は脇息に身をもたせた。
「心配せずとも、俺はしばらく真面目にやるぞ。いよいよ闇が本格的に動き出したようだからな」
「……闇が」
二人は瞬時に真剣な顔をして飛龍に向き直る。
「覚えているな。高千穂の領主は神を呪詛し、自らも闇に堕ちていた。光の領主ですら闇に堕ちる。これは向こうが裏で動いていると考えられるな。周囲から俺を追い落とそうとしているのかもしれぬ。街で仕入れた話では、近頃各地の領主の間で使者が忙しく走っているらしい」
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Reservoir Amulet