03


「成程な。高千穂の陰に上手く隠れていたか」

納得したように頷いて、三人を見渡す。

「かなり前から高千穂と筑紫が闇に傾いているとは考えていた。俺が敢えて高千穂に出向いて領主を倒したのは、それを確かめる為と筑紫に揺さぶりを掛ける為だ」

飛龍は淀み無く話を続ける。

「ただ高千穂の領主に反逆を企む程の能は無い。本当に注意すべきは高千穂の領主の悪行の後ろに隠れる筑紫の領主だ。高千穂の場合と違ってその行動は目立たず、こちらに正す口実を与えない。だが高千穂が落ちた今、必ず動き出す」

一度言葉を切り、輝夜に目を向ける。

「輝夜。お前は筑紫の領主の屋敷に潜り込み、その動きを探ってもらいたい」

輝夜が答えるよりも先に、赤羽が声を上げる。

「馬鹿言うなよ、危険過ぎるだろう!」

「そうですよ。その役目は何も輝夜でなくても良いでしょう」

「……やるわ」

真っ直ぐに飛龍を見返して、輝夜はきっぱりと言った。

「采女か何かに変装して、情報を探れば良いのね」

「ああ。では頼む」

「お、おい!勝手に話を進めるなって」

「輝夜、どれ程危険か分かっているんですか?」

輝夜は二人の方を見て微笑む。

「心配してくれて有り難う。でも大丈夫よ。私は舞楽も結構得意なの。上手く取り入る事が出来れば、情報を探り出すのも難しくないと思うわ」

- 153 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet