05


絶えず胸を締め付ける痛みがある。

それはどんなに時が経とうと消えない傷跡。

全てを受け止めて、背負って生きて行くのが罰だと分かっていても。

また自分のせいで誰かが傷付こうとしている時には。

終わらない哀しみが、静かに激しく心をかき乱す。

月の光が射す廊を歩いていた飛龍は、ふと足を止めた。

少し先で、輝夜が一人で月を見上げている。

何を考えているのか、その横顔からは分からない。

ただ明る過ぎる月が照らし出す白い肌が、輝く黄金色の髪が。

いつもと何処か違う表情が。

戸惑う程に、切なくて。

このまま輝夜が消えてしまいそうな気がした。

「飛龍?どうしたの」

視線に気付いたのか、輝夜がこちらを見て微笑んだ。

「……いや、支度は終わったか」

「ええ。もう終わったわ」

飛龍は輝夜に近付いて、その大きな瞳を見据えて言った。

「すまない。お前にこんな事を頼む為に付いて来いと言った訳では無かった」

ただの言い訳に過ぎないと分かってはいるけれど。

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