06
「俺が今、宮を空ける訳には行かぬ。筑紫が動き出した時、俺が狙いであれば間違い無く、このまほろばが危うくなる。それを見越し、指示を出さねばならぬ」
深く息を吐きながら続ける。
「不穏な動きがある所へ行けと命じるのは、危険を承知で戦場の前線に送り込むようなものだ。もしも俺の手先と知られれば、まず間違い無く命が危うくなる。俺が信用出来る者は、ほんの僅かだ。危険なのは分かっているが、お前にしか頼めない」
輝夜は真剣な顔で話す飛龍を黙ったまま見詰めた。
「赤羽にはこちらでやってもらう事がある。今回の諜報活動には、お前が最も適しているのだ。敵地で一人になどさせたくはないが」
「……飛龍」
眼差しが語る心痛は、輝夜の胸を深く貫いた。
この人に付いて行ける自分は、幸せだ。
「それでも俺に命を預けてくれるか、輝夜」
「ええ、勿論」
迷わず答えると、飛龍は真っ直ぐな瞳の少女に向かって深く頭を下げた。
再び詫びた声が震えているのが自分でも分かった。
何度味わっても慣れない。
慣れる事など出来はしない。
自分の体が心が抉られる程の痛み。
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Reservoir Amulet