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「俺が今、宮を空ける訳には行かぬ。筑紫が動き出した時、俺が狙いであれば間違い無く、このまほろばが危うくなる。それを見越し、指示を出さねばならぬ」

深く息を吐きながら続ける。

「不穏な動きがある所へ行けと命じるのは、危険を承知で戦場の前線に送り込むようなものだ。もしも俺の手先と知られれば、まず間違い無く命が危うくなる。俺が信用出来る者は、ほんの僅かだ。危険なのは分かっているが、お前にしか頼めない」

輝夜は真剣な顔で話す飛龍を黙ったまま見詰めた。

「赤羽にはこちらでやってもらう事がある。今回の諜報活動には、お前が最も適しているのだ。敵地で一人になどさせたくはないが」

「……飛龍」

眼差しが語る心痛は、輝夜の胸を深く貫いた。

この人に付いて行ける自分は、幸せだ。

「それでも俺に命を預けてくれるか、輝夜」

「ええ、勿論」

迷わず答えると、飛龍は真っ直ぐな瞳の少女に向かって深く頭を下げた。

再び詫びた声が震えているのが自分でも分かった。

何度味わっても慣れない。

慣れる事など出来はしない。

自分の体が心が抉られる程の痛み。

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