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夜明けの光に目を細めながら、輝夜が口を開く。

「飛龍、大丈夫かしら。闇が動き出したのなら、まほろばだって安全とは言えないわよね」

「貴女があんな男の事を心配する必要はありませんよ」

尖った声に、輝夜は後ろの角鹿の方を僅かに振り向いた。

「怒っているの?」

「いえ別に。飛龍殿が勝手なのは今に始まった事ではありませんし」

輝夜は少し黙り込んでから、前を向いて言った。

「私、昨夜出発する前に、飛龍に謝られたわ」

「飛龍殿に?」

「こんな事を頼む為に連れて来た訳じゃないって。本当に真剣に辛そうに謝ってくれた」

頭を下げながら呟いた、低く沈痛な声。

普段とは違う声音。

自分の体が傷付くのと同じだと、彼は言っていた。

「飛龍は色々考えているのよ。多分、遠く深くまで。中々私達にまで明かしてはくれないけれど」

「まあ、確かに。彼が人の命を大切にするのは認めますが」

仕事を抜け出しては行方をくらます飛龍の事を考えて溜息交じりに角鹿が言うと、輝夜は笑った。

「だから自分は帝には失格だって飛龍は言っていたわ。今の豊葦原は荒れている。それを上手く建て直して将来の幾百万の民を守る為には、此処で数人を犠牲にしても仕方が無い。そう考えなければならないのに出来ない、と」

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