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『世界中誰が信じなくても、私は貴方を信じてるわ』

逃れる事を許さない貫く視線と張り詰めた声。

まだ言えない何かが輝夜にあるとしても。

「飛龍殿?」

訝しげに名前を呼ばれて、飛龍は我に返った。

「案ずるには及ばぬ。前にも言ったろう、輝夜は我が身を守る為の賢しげな計算など出来んさ。まだ話せぬ事があったとしても、あいつが生真面目で馬鹿正直なのは確かだろう」

自分が信じない理由にはならない。

こんな自分を無条件で信じて命まで託してくれる者を、信じない理由など無い。

「俺は全てを知らねば信じられぬ程狭量ではないぞ。人を見る目にはそれなりに自信があるのでな。それ位は、輝夜も分かっているだろう」

自分の意志で行動していると、輝夜は伝えたかったのだろう。

あの夜、月の光に酔って話し過ぎてしまったのだから仕方無いが。

「……全く、貴方がた二人は」

やがて、角鹿が深々と息をついた。

顔を合わせれば喧嘩ばかりしているのに、離れている時はこんなにも強く信じ合っていて。

それを本人達が分かっていないのだから手に負えない。

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