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「どうせ嘘だ、構わんさ。攫われたのは輝く天女のように美しく心優しい姫君で、帝と深く愛し合い手を取り合って豊葦原の為に身を尽くしていた。……まあ、こんな感じか。とにかく民の同情を引け」

「……よくもまあ、さらさらと出て来るもんだよな」

感心しつつも呆れる赤羽の横で、角鹿も息をつく。

「それだけ頭が回るなら、普段から使って頂きたいものですね」

「まだあるぞ。新たな帝と妃が共にあれば、きっと豊葦原は豊かな国になる。眩いばかりの希望だとな。そう語って民をこちらへ引き寄せろ」

飛龍は不敵に笑い、付け足す。

「果たしてこれで運がどちらに動くかが賭けだな。もしもこちらに動くなら、俺は帝として相応しいのだろう」

「では、もしも筑紫に動いたら?」

「諦めるしか無いな。お前達にも暇をやるぞ」

「そんな笑えない冗談を言うなよ」

赤羽が頭をかきながら言うと、飛龍は首を振った。

「民が俺を帝に相応しくないと見限るなら、帝位などくれてやる。そこまでしてしがみ付くものでもあるまい」

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