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それから、ふと視線を落として続ける。

「これで逃れられるのならば、いっそ楽なのかもしれんがな」

しかし、そうは行かない。

大きな賭けに出る時というのに、負けるなんて思えない。

それは、誰より信じられない己を。

『私は貴方を信じてるわ』

迷い無く信じると言い切った、澄んだ声を思い出すからかもしれない。

「しかし、我々が動くのは向こうが動きを見せたらなのでしょう。それまでに、輝夜の身に何かあったらどうなさいます」

「どうも出来ないな。此処から無事を祈れ」

息を吐いて、飛龍は続ける。

「俺達は輝夜の探り出す情報が無ければ動けぬ。筑紫がはっきりと乱を起こすと示すまで、動く訳には行かんのだ。だからと言って何もせずに待っている事も出来ぬ。ならば今出来る事をやるしか無いだろう」

それしか、してやれる事が無い。

今も遠い空の下で務めを果たしている彼女に。

『私は死なないわ』

一瞬触れた指の温もりを信じて。

今宵もあの瞳を思い出させる月を見上げる。





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