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貴方は今頃どうしているのだろう。

同じ月を見ていたりするのだろうか。

輝夜は書いたばかりの文【ふみ】を手に用心深く部屋を出て、ふと空を見上げた。

『筑紫が動き出した時、俺が狙いであればまず確実に此処を、まほろばを突いて来るからだ』

大丈夫だろうか、あの人は。

こんな所で心配しても、何が出来る訳でも無いけれど。

飛龍が簡単に倒れる程弱くはないと分かっているのに案じてしまうのは、側にいないからだろうか。

一緒にいればきっと、何が起こっても大丈夫だと笑い飛ばせるのに。

信じていても考えずにいられないのは、ただ。

軽く息をついて廊を歩き、少し行った所で人影を見付けて立ち止まる。

向こうも輝夜に気付いたようで、頭を下げた。

「賢彰【けんしょう】。ごめんなさい、待たせてしまったかしら」

「いえ、大丈夫ですよ」

賢彰はそう言うと、屈託無く笑って見せる。

輝夜も笑い返して、手に持っていた文を庭に立つ賢彰に差し出した。

「これ、お願いね」

「はい、確かにお預かりしました」

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