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(どうしよう、こんな所で迷うなんて。全くもう、まほろばの宮といいこの屋敷といい、どうしてこう無駄に大きいのかしら)

とにかく誰にも会わない内に自分の部屋まで戻らなければ。

慌てて向きを変えて歩き出す。

(これでもし入ってはいけないような所に入り込んでしまって怪しまれて素性がばれる、なんて事になったら困るわ)

まだ探らなくてはならない事があるというのに、迷子になって捕まるなんて冗談ではない。

間抜けにも程がある。

そう思って急いで足を動かしても見知らぬ景色ばかりが続き、輝夜はさすがに心細くなって来た。

(森とか山の中なら平気なのに……)

手近な柱に手を置き、溜息をつく。

これが自然の中ならば、自分を導く声がいつも何処かにあるのに。

(落ち込んでいる場合じゃないわ、とにかく戻らないと)

再び自分を奮い立たせて歩き出そうとした時、不意に後ろから声を掛けられた。

「何をしているんだい?こんな所で」

「……っ」

輝夜は慌てて、顔を衣の袖で隠した。

「申し訳ありません。道に迷ってしまって……」

「入ったばかりの采女だね。その声は、水晶の君かな」

そう尋ねる声には、輝夜にも覚えがあった。

「はい。……漣星殿」

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