15


よりにもよって、最も見付かりたくない人に会ってしまった。

袖の陰で唇を噛んだ輝夜の腕を、急に漣星が掴む。

声を上げる間も無く、そのまま歩き出す。

「あっ、あの、お待ち下さい。何処へ……」

「道に迷ったんだろう?君の部屋はこっちだよ」

漣星はそう言うと、何気無い調子で続けた。

「前から思っていたんだけど、君の舞は本当に素晴らしいね。まるで天上から舞い降りた天女のようだよ」

「……勿体無いお言葉です」

答えた輝夜の方をちらりと振り向いて、漣星が笑みを浮かべる。

「でも、君は時々妙に強い瞳をするね。可憐な舞姫というだけでは説明出来ない清廉さがある」

「…………」

漣星の真意が掴めずに黙り込んだ輝夜に、変わらない微笑が向けられる。

「だけど、迷子になるなんて可愛いところもあるんだね」

(この人、顔は笑っていても瞳は何処か冷たいわ)

「蛇集殿は君を随分気に入ったようだけど、君は知っているのかな。此処はもうじき戦場になるよ」

その言葉に、輝夜は顔を上げて答えた。

「ええ。存じております」

- 185 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet