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「それなのにわざわざ来たのかい?」

「だから来たのです。いけませんか」

鋭さを増した輝夜の瞳を受けて、漣星が声を立てて笑う。

「別にいけなくはないけどね。僕にそんな事を言っていいのかな」

「戦を促しているのは貴方でしょう。何故戦を起こそうとするのですか」

「さて、何故だと思う?」

聞き返され、輝夜は強い口調で言った。

「狙いはまほろばの、帝ですか」

「うん、そうだね。今、この豊葦原は荒れている。帝だから正しい統治が出来るなんて事は無い。それは先帝の例を見れば明らかだ。今の帝に果たしてその気があるのか、大地を正しく治める気があるのか。現状では厳しいだろう。どうやっても、この国全体を纏めるのは難しい。手の届かない地域には、それぞれの領主が独自の権限を振るう方が良いと思ってね」

息をついて漣星が続ける。

「だから、多少荒っぽいけど乱を起こす事にしたんだよ。蛇集殿は昔から、豊葦原の荒れた様を憂えていたからね。帝に少しでも慈悲の心があれば、こちらの話を聞いてくれるかもしれないだろ?」

「……それだけ、ですか?」

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