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砦の奥の部屋に入ると、机に向かっていた男が顔を上げた。

飛龍の顔を見るなり顔をしかめて口を開く。

「やけに表が騒がしいと思ったら、お前か」

「開口一番それは無いだろう、扶鋤【たすき】」

「ここしばらく顔を見ないで済んで清々していたと言うのに、何をしに来た。お前はいい加減、ふらふらしていないで宮中に引っ込んでいろ」

「冗談ではない。あんな所にずっといたら、体が鈍って仕方無かろう」

扶鋤は飛龍がいない間、この高千穂宮の兵を纏めている。

かつては先代の帝に仕え、その武道の腕を認められて将軍となった。

その後、帝が病に倒れて事実上政の実権を握っていた者の悪行を公然と非難して解任されたが、それでも自分の意見は曲げずに貫いた男である。

今は飛龍の元で、数々の武勲を立てている。

それだけではなく、飛龍に対して容赦無く毒舌を浴びせる強者でもある。

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