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呆れ返った赤羽が諭すように言う。

「指示書とは別に、文を書いてやれよ。輝夜は、お前を心配してるんだからな」

「そうですよ。気の利いた歌でも添えて送ってみたら如何です?」

「この俺が歌を詠める訳が無かろう」

あっさりと提案を切り捨て、飛龍は苛立たしく手を振る。

「何をさせたいのか知らないが、今はそんな事を論じている場合ではない。噂も適度に広まって来た頃合いだ。お前達には、まほろばの守りの要となってもらわねばならぬ」

「ああ。それは分かってるが……」

「飛龍殿。我々もそれを踏まえて申し上げているのです」

不意に角鹿が真面目な顔で口を開いた。

「人質に取られた愛しい妃の元へ、恋文の一つも届けないなど有り得ません。噂に真実性を持たせる為にも、感動的な文を認めて下さい」

「そうだそうだ。苦労して嘘を並べ立てる身にもなってみろ。胸が痛むだろう。言い出したのはお前なんだから、一時でも輝夜の夫に成りきれ」

「……そう言われてもな」

困ったように呟く飛龍に対し、角鹿は容赦無く言い放つ。

「我々は隣室にて、指示書の内容を検討します。貴方は此処で、輝夜への恋文を書いて下さい」

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