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筑紫の領主の屋敷、その主の部屋で蛇集が低く声を発した。

「まだ集まって来ているのか」

志願する民を受け入れながら続々と規模を拡大して行く軍。

帝の為にと集う兵は今も尚、数を増しているのだ。

「はい。筑紫は帝の地位を奪わんとする反逆者という噂が流れ、風は明らかにあちらに吹いております」

淡々と漣星が応じる。

「こちらで独自に集めて来た兵の士気も下がり、向こうの軍に加わる為逃げ出す者もいます」

「……今更、後に退く訳には行かないのだ」

二人の様子を、蛇集に酌をしながら側に控えている輝夜が注意深く見る。

所詮小物、信頼する側近の言葉に蛇集が焦っているのは明らかだ。

事態は筑紫にとって、予想よりも遥かに悪い方へ動いている。

まさかこんな事になるとは、誰が考えられただろう。

帝の危機だと、民は自ら集まった。

一つの希望を守る為に、集い合ったのだ。

こんなにも、帝は大きいのか。

こんなにも、人を動かす力となるのか。

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