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「元気そうじゃないか、水晶の君」

手を上げた飛龍が、敵地にいるとは思えない位のんきに声を掛ける。

「どうして此処にいるの?飛……」

思わず名前を呼びそうになったが、飛龍が思い切り顔をしかめたので慌てて言い直す。

「ええと、鬼若かしら?」

「ああ。少し様子を見にな。思ったより上手くやっているようで安心したぞ」

「様子を見にって……」

輝夜は呆れて、相変わらずのんきそうな顔を見返した。

狙われていると知りながら、わざわざ自分から敵の本拠地にやって来るとは。

まほろばの角鹿達が泣いているに違いない。

「それに、賢彰にはそろそろ軍へ戻ってもらいたかったのでな。俺と交代した訳だ」

その言葉に、輝夜は飛龍を見上げた。

「大勢の民が軍に志願しているそうね。全て帝への期待が大きいからなんでしょう?」

「まあな。やはり同情を誘うには恋物語だな」

「……?何の事?」

尋ねると、飛龍がさらりと告げる。

「知らんのか?民を動かす為に、筑紫が帝の妃を攫い盾として帝位を奪おうとしている。そうでっち上げて噂を流したのだ」

「な……」

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