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筑紫の領主の屋敷を取り囲んだ高千穂の軍は、当初の数の何倍もの規模になっていた。

軍を束ねて率いる扶鋤は、指示通りにひたすら相手の動きを待っている。

「こんなに兵が増えるなんて、思いもしませんでしたね」

賢彰が近付いて来て、感動したように言った。

「全くだな」

帝に寄せる希望を、改めて実感させられた。

これを見て、帝本人も少しは真面目になれば良いのだが。

「今は動かず、待機なんですよね。飛龍殿らしくないですけど」

賢彰と交代して屋敷に潜入した将軍の飛龍は、攻め込むのは待てと指示を残した。

「今は戦う術を知らない者も軍に加わったからな。なるべくならば戦わない解決を将軍は望んでいる」

「そうですね。このまま向こうが敵わないと悟って降伏してくれるなら、それが一番良い」

頷いた賢彰は、屋敷に心配そうな目を向ける。

(飛龍殿って時々姿を見せなくなりますけど、何処で何をしているんだか)

そう考えて、もう一人屋敷にいる仲間を思い出す。

(輝夜も、大丈夫だと良いんですが)

不気味な程に静かな屋敷を見る度、心配は募る。

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