21
扶鋤は息をついて低い声を出す。
「見るものなど無いぞ。村は何処もひどい状況だ」
「だろうな。だからこそ、俺が見に行かねばならんのだ」
そう言った飛龍の目を見返して、扶鋤が再び息をつく。
普段は馬鹿なだけの男だと思っていても、飛龍は時折妙に瞳の色を深くする事がある。
そういう時は何故か何も言えなくなる。
今も何事かを考え込む飛龍の瞳は底の見えない海のように暗く、深い。
「奴は、一体どれだけ民を虐げているのだろうな」
飛龍は呟いて窓の外を見やった。
日が暮れた外は、静かに闇に沈んで行こうとしていた。
- 21 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet