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夜も大分更けた頃に赤羽が扶鋤の部屋を訪れると、そこには飛龍の姿は無かった。

「あれ、飛龍の奴、此処にいたんじゃねえのか?」

「ああ、あの大馬鹿者ならつい先程自室へ戻ったぞ。何でも明日から村の様子を探りに行くそうだ」

扶鋤は顔も上げずに答えた。

「大馬鹿か。角鹿もそう言ってたな。俺は馬鹿だって言ったんだが、お前らの方が容赦ねえな」

赤羽と角鹿、そして扶鋤は幼少時代に同じ師の元に武芸を学んだ同士である。

帝に仕える軍の将軍でもあったその師は、龍眼の治世中に反逆の汚名を着せられて処刑された。

弟子の中でも三人は先頭に立って無実をずっと訴え続けたのだが、最初から相手にはされなかった。

「だから、お前も何とか生きているのだろう?」

かつて赤羽は飛龍が帝となったその祝いの席に剣を手に乗り込み、面と向かって師の無実を告げ、証拠を記した書面を突き付けたという伝説がある。

扶鋤の言葉に、赤羽は苦い顔で息を吐く。

「そんな事はとっとと忘れろ」

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